Look back on my mind

 日本に帰国する飛行機の中で
窓の外を見ながら、
ニュージーランドを離れることを
悲しんでいた。
私は自分で決めて日本に帰ることを選んだ。
日本に帰ったらやりたい事、
こうなりたい自分、会いたい人を
たくさん思い浮かべて、
これからの未来に心を躍らせていた。
悲しみよりも、
ワクワクの方が勝っていたと思う。
なんでもできる。
この2年半を乗り越えてきた自分だから、
多少のことではへこたれない。
自分は強くなったと思っていた。

日本に帰ってすぐは、
ひさしぶりに友人に会って、
家族に会って、
美味しい日本食に感動して、
お風呂に浸かって…
地元の匂いを嗅いで、
慣れ親しんだ日本語が周りから
聞こえてくる環境に温かさを感じた。
それが月日を追うごとに
当たり前になってしまった。
次はニュージーランドを恋しく思って、
楽しかった日々のことを思って、
なんだかやりきれない気持ちになった。
あんなに日本に帰って
やりたい事があったはずなのに、
今となっては、
何をしたかったのか、
なんで日本に帰ってきたのかすら思い出せなくて
帰る選択をした自分を疑ってしまう。


ひさしぶりにノートを開いた。
ニュージーランドに住んでる時、
何か感じた時、悩んだ時、
誰かの言葉に心が震えた時、
ワクワクするアイディアが浮かんだ時、
何かに迷った時、
とにかくいろんな思いを書き綴ったノート。
懐かしく思えた。
それと同時に驚いた。
あの頃自分が思ったこと、
感じたこと、感動したことを、
今の自分はすっかり忘れてしまっていた。
出会った人たち、夜通し語り合った話、
泣いてしまうほど、嬉しかった言葉たち。
あれだけ忘れたくなかった思い出たちを
ほんの一部しか覚えていなかった。
そして、あんなに日本に帰ってからの日々に
ワクワクしていたことさえも。
ただただ美化されたニュージーでの生活を
思い浮かべては悲観的になっていた。
今がちゃんと思い出すいい機会。
自分で決めたことだ。
環境が全て整ってる時期なんて
待ってても来ない。
今、私が置かれてる場所で
出来ることは山ほどあって、
ごちゃごちゃ不満を垂れてるなんて
もったいなすぎるよね。
一気にできなくてもいい。
でも、着実に自分が日本でやりたかったことを
やって行こう。

時々こうやって過去を振り返る。
振り返っても、戻れなくて
もどかしくなる。
当たり前だけど、
振り返って、懐かしく思っても、
その頃に戻る事は絶対にできないし、
前進するしかない。
また会えたらなって、大切な人を思う。
絶対じゃないけど、
もう会えない人たちもたくさんいる。
でも確実に私の中に思い出と、
素敵な言葉を残してくれた。
出会うべくして、
そんな人たちに、出来事に
出会ったと思ってる。
そんな人たちが、今の自分を
作ってくれてる。



END




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